へこむ駐車場

田舎の国道沿いにあるようなコンビニは、駐車場が広い。

コンビニの建物の数倍の広さを持った駐車場なんて珍しくもないし、実際に大型トラックが10台以上並んで停められていても、まだまだスペースに余裕がある、なんて光景もざらだ。

山陰地方の某所にあるそのコンビニも、市街からちょっと離れた国道沿いにあり、駐車場がとても広い。サッカーコートが3面くらい入るんじゃないかというくらい、広い。

そんなコンビニの駐車場は、一端が山林に面しているのだが、その山側に面している駐車場の一部分にだけ、少々異常があった。

凹んでいるのだ。

駐車場全体が、というわけではない。大体直径が1メートルほどの円形の面積分だけ、すり鉢状に凹んでいるのである。

上にとてつもなく重い金属の玉でも置いたらこんな風に凹むんじゃないか、という見た目で、深さは中央の一番深い所でも20センチほど。凹みの縁は綺麗にほぼ真円を描いている。雨が降って水が貯まると、満月のように丸い水たまりができてしまうという。

当然、広大なコンビニの駐車場のほんの一部分とはいえ、コンビニ側もそんな異常を放置しているはずがなく、工事をして凹みを埋め、舗装しなおした事がある。

だが、またすぐに徐々にまったく同じ地点が沈み込み始め、3ヶ月くらいすると元に戻ってしまうのだそうだ。何度工事しても同じ結果だったため、今では凹みの周囲に三角コーンを置いて、そこだけ車が停められないようにしてある。

なんでそこの地面が凹むか、というのが一番の疑問なわけであるが、結論としてその原因はさっぱり分かっていない。

元々の土地の所有者であるコンビニのオーナーにも、何度か凹みを埋め戻した工事の業者にも、凹む原因はまったく思い至らなかったそうだ。

近くにその昔修験者の修行していた山があるから、とか、井戸の跡だ、とか、何か因縁があるものが埋まっているのだ、とか、そんな噂はあるが、実際に埋め戻した業者の話だと、そんなに深く掘り返したわけではないが、特に何も出なかった、との事である。

何かあるのかも知れないし、何もないのかも知れない。

とあるコンビニの駐車場の一角は、今も綺麗に丸く凹んでいる。